時 空 堂
「え?どうしたの?」
「いいからっ」
「いや、いいよ。もうすぐ着くから、駅前に居て」
ふと、近くにあった時計台を見た。
あと五分で、事故のあった時間だ。
「詳しい場所を言ってくれ。早くっ」
「もうっ、何怒ってるの?」
「いいから、早くっ」
気持ちだけが焦っていた。
「えーっと、今駅前のバス停のところらへん。ほら、なんかの石像があるところの反対側」
そう言われて、すぐさま恭華の言った方向を見た。
何人もの人が歩いている中、紙袋を持って、携帯で話している恭華を見つけた。
「居たっ」
「え、何?」
「そこに居てくれ」
そう言って電話を切ったと同時に走り始めた。
事故の時間まで、あと、三分ちょっと。