時 空 堂

 息が切れながら、人混みをかき分け、がむしゃらに走った。前を向いて、ただただ、恭華を助けたい一心で。

 時間がない。せっかく、刹那に送ってもらったんだ。刹那を助けるためにも、ここで助けないと、俺が過去に来た意味がないんだ。

 大嫌いなこの時間。人が多くて、恭華が見当たらない。さっき電話を切った場所へとやと着いたが、どこにも居ない。

 なんで居ないんだよ。

 荒れた呼吸を整えながら、周りを見回した。

「恭華、恭華」

 祈るように、恭華の名前をひたすら口にした。

 その時だった。

「おーい、潤。こっち、こっち」

 笑顔で手を振る恭華を、反対側で見つけた。

「なんで、そっちに居るんだよ」

「え?何?聞こえない」

 耳の後ろに手を当てて、俺の声を拾おうとしていた。

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