時 空 堂

「生きててく、て、あ、がとう。きょ、華」

 ずっとずっと言いたかった言葉。やっと言えた。

 驚いたような顔をした恭華は顔をくしゃくしゃにして、また泣いた。

「何よぉ。馬鹿っ。馬鹿馬鹿馬鹿」

 恭華は泣きながら俺にぎゅっと抱きついた。

「いっ、痛い」

 そう言っても、恭華は俺を離さなかった。頭を撫で、ここに恭華が居ることを実感した。

 生きてないと出来なかったことをしよう。恭華を助けたかった俺の望みは、果たされた。

「すみません、退いてください。大丈夫ですか?」

 白衣を着た救急隊員の人が担架を持って俺の元に駆け寄ってきた。

「はい、なん、とか、だ、だいじょう、ぶです」

 恭華は体を退け、俺の体は救急隊員の人に支えられ、担架へと乗せられた。

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