時 空 堂
「では、病院に向かいます」
救急隊員の声が聞こえた。そして、救急車特有のサイレンの音が聞こえ始めた。
「潤、本当に大丈夫?話せる?」
「あぁ、大、丈夫。・・・ちょっと落ち着いてきた」
腕を下ろし、恭華をじっと見た。
久しぶりに見る恭華の顔。俺は助けたかった人を助けれたんだ。命をかけて好きな人を守れたんだ。
「どうしたの?」
じっと見ている俺に恭華は不思議そうな顔をした。
「・・・愛してるよ、恭華」
顔を真っ赤にする恭華。でも、そっと俺の手を握りしめた。
「バッカじゃないの、こんな時に」
「あはは」
生きているからこそ、伝えなくちゃいけない。
いつか、また別れる時が来るだろう。でも、その時に後悔のないよう、生きたい。笑ってありがとうって言いたい。