時 空 堂

 真っ黒なクロの毛は、この暗い時空堂の中で艶やかに、刹那の髪の毛のように光っていた。

「ところでおまえ、まだ帰らないのか?」

 ふと思い出したかのように、クロは問い掛けてきた。

「何?居ちゃ悪い?」

 にっと歯を見せて笑いクロを見た。

「今日はもう客は来ん。店は閉めるぞ」

「刹那は?」

「もうすぐ仕事が終わって戻るはずだ」

 あの少女が消えたあと、刹那は俺の前に自由にお茶のおかわりが出来るよう、お茶を入れたポットをおいてから姿を消した。
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