時 空 堂

「もうすぐ刹那が帰ってくるならしばらく待っているよ」

「ふんっ。好きにしろ」

 そう言ってクロは椅子から飛び降りた。綺麗なジャンプだった。

「奥の部屋には入るなよ」

「ん?なんで?」

「今から寝るんだ。邪魔したら引っ掻くからな」

 右前足から爪を出して、俺に引っ掻く真似をしてみせた。よく尖った爪だ。

「おー、怖っ。行かないから大丈夫だよ。安心して寝て下さい」

「ふんっ。じゃあな」

 そう言ったあと、クロは奥の部屋に入っていった。
< 46 / 426 >

この作品をシェア

pagetop