時 空 堂

 クロが居なくなってから、全く音が聞こえなくなった。ここは静かだ。

 自分の脈や心臓の音まで聞こえそうなくらい。

 この店は外の商店街の賑やかな音も聞こえることはないから、本当に遮断された空間になっている。部屋の奥にいくにつれ真っ暗になっていくし、不思議な空間だ。

 ふと窓の外を見ると、夕焼けの光が消え、闇夜が広がろうとしていた。

 もうそんな時間か。ここで刹那を待つようになってから、時間が経つのがあっという間な気になってきた。

 普段何もせず、ボーッとすることが苦手だったのに。

 そんなことを考えていた時だった。
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