時 空 堂

 刹那に言われなくても、俺は過去にも未来にも行くつもりなんてない。

 今が、現状が、いいんだ。行ったあとのことがわからないから、不安しかないし。

「じゃあ、帰るな。刹那暖かくしてゆっくり寝るように」

「えぇ、分かったわ。おやすみなさい、潤」

「おやすみ」

 そう挨拶を交わして、俺は扉を開き時空堂を出た。

 辺りは薄暗く、人気はまばらで、賑やかな商店街の声も少し減っていた。

「もうこんな時間か。さっさと帰ろう」

 一人呟き、時空堂をあとにした。

 少し肌寒く、風が冷たかった。
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