時 空 堂

「分かんないよ、それじゃあさ。一体なんだよ」

 俺は少し笑いながら問い掛けた。

「なんだ?わかんないのか?」

 父親は少し残念そうな顔をしていた。

「わかるかよ」

「キャッチボールだよ」

 どうやらピッチャーがボールを投げる動作と、それを受ける動作をしていたらしい。どうしてジェスチャーだったんだ。

「なんでキャッチボール?」

「昔は俺が帰ってくるたびに、キャッチボールしてー、遊んで、ってせがんでたじゃないか」

「そうだっけ?いつの話し?」
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