時 空 堂

「あるんだよなー。ジャジャーン」

 父親の変な効果音と共に背後から、大人用のグローブが出てきた。

「なんであるんだよ」

 俺は、父親のテンション高い行動に、半ば呆れ気味に聞いた。

「実はな、江里子(エリコ)もおまえとキャッチボールしたいって言って、買ったんだよ」

「なっ、母さんが?」

 キャッチボールをするような母親には見えない。汚れることを嫌うような母親なのに。

「おまえのやりたいことを一緒にしたいって言ってたんだよ」

 父親は嬉嬉として思い出しながら話をした。
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