時 空 堂

┣現実


 軽くグローブを整え、構えた。父親がボールを投げるのを待つ。若干薄暗くて見えにくい。

「いくぞー」

 そう言って父親が投げたボールは、上手く俺のグローブに収まった。ボールがグローブにすんなりと収まる感覚が懐かしくて、少しテンションが上がった。

「おっ」

「そういえば昔、一回だけ試合のあと、泣きながら帰ってきたことがあったよなぁ」

「なっ。そんなことあったっけ?」

 唐突に言われたことに焦りつつも、ボールを投げながら答えた。
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