時 空 堂
「懐かしいなぁ」
「そうねぇ。あんなに可愛かった時があったのねぇ」
両親揃って、昔を懐かしんで何やら賑わっている。そんなに懐かしむ内容なんて、持っていないだろうに。辺りは暗くなっていった。
「お二人さん、もう暗いしさ、家入らない?」
二人はハッとし、周りをキョロキョロ見た。
「あら、本当」
「潤、すまないがこれ片付けといてくれ」
父親はグローブとボールを俺に渡した。
「はいはい」
「またしような」
そう言って、俺の頭をぐじゃぐじゃと撫でた。