時 空 堂

 ニカっと笑ったあと、二人は家に入っていった。

「全く。やるって言ったり、片付けって言ったり、勝手な父親だよ」

 ふぅと溜め息をついたあと、口角をあげて、自嘲的に笑った。

「でも・・・、ははっ」

 あんなに昔のことを、覚えていてくれて正直嬉しかった。

 普段あんなに忙しそうに仕事ばかりしてるから、そんなこと忘れていると思っていた。

「なんだかんだあの二人親なんだな」

 グローブとボールを片付けながら、俺は薄暗い倉庫の中で一人はにかんだ。
< 66 / 426 >

この作品をシェア

pagetop