時 空 堂

「もしかして榊(サカキ)さん?」

 ゆっくりとキッチンを覗きこんだ。

「潤さん。おはようございます」

 目の前には、白いエプロンをした、ショートヘアの榊さんがにっこりと笑って立っていた。

「あー、びっくりした。榊さんがいるってことは、二人とも長期で帰ってこないんだ」

「えぇ。旦那様から今朝連絡がありまして」

「そっか」

 榊さんはこの家の、所謂メイドさんだ。

 しばらく会っていなかったけれど、両親が長期に渡って家をあける時は、必ず手入れにやってくる。
< 72 / 426 >

この作品をシェア

pagetop