時 空 堂
「あのおっさん、客かな」
足を止め、中年の男を見ながらボソッと呟いた。入るのか気になる。まぁ、話しかけることはしないけど。
時空堂が見えるのは「時空堂を必要とする人間」
中年の男はじっと時空堂の方を見つめ、少し考えてから時空堂に背を向け歩き始めた。
「あれ?客じゃないのかな」
たまたま時空堂の方を見ていたんだろうか。中年の男は人に紛れ、見えなくなった。
「まっ、いいか」
俺は時空堂に歩み寄り、扉を叩く。コンコンと音がした。