時 空 堂
其ノ二、男
ギィィィ
店の扉がゆっくりと音を立てながら開いた。
「すみません。誰か居ますか?」
先ほど見た中年の男が様子を探るように中を見渡しながら、申し訳なさそうに、扉の向こうから顔を覗かせた。
「はい」
奥からゆっくりと刹那が出てきた。背筋が伸びていて、着物がよく似合っている。
「あの、この店は一体、何なんでしょうか?」
男は小さな声で刹那に問い掛けた。
「あ、気になったもので、ついつい入ってしまいまして」
と付け加えた。