時 空 堂

 ゴツンと何かが窓の外で音がしる、咄嗟に音の方を見た。

「おい。おまえら手をあげ、車から降りろ」

 目の前にいるめざし帽を被った人間から、男の声が聞こえた。銃を突き付けていた。ゴツンと音がしたのは、これが窓に当たった音だった。

「な、なんなんだ」

 慌てて車の反対側を見ると、もう一人黒いニット帽を深く被り、サングラスにマスクをつけた男が、銃を俺達に向けて立っていた。

「早く出てこいっ」

 ドンッ

 外から車を蹴る音が聞こえた。

「篠原出よう」

「あぁ」

 俺達は言われた通り、手を挙げ、ゆっくりと外へ出た。
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