思い出の場所まで
「なんかあった?」
「うん。彼氏に振られちゃった。
二股だったの・・・。最悪だよね・・・。」
「うん・・・。」
あたしはため息をついて苦笑いをした。
「でも、もう大丈夫!
今から家に帰ろうって思ってたの!
颯ちゃんも帰ろうよ!」
「うん・・・。」
「なんか、颯ちゃん・・・無口だね。今日。」
「うん・・・。」
「さぁて!帰りますか!
途中まで一緒行こうや!
家近いんやしさっ!」
あたしは歩き出した。
パシッ・・・
腕を掴まれた。
強い力・・・。
「颯ちゃん・・・?」
さっきまでうるさかった蝉が
鳴きやんだ気がした。