なついろ
復活の夏
「あれ,鍵どこ」
玄関を目の前にして思ったこと。
カバンをあさりまくる。
カバンを落とし制服のポケットをチェックする。
「あった!」
安心して鍵穴に差し込む。
カチャッという音を2回ほど聞いて
扉は開いた。
静まり返っている家の中。
静かに靴を脱ぎ
リビングに入った。
カバンをそこらへんに置き
ソファに横になる。
『まだ夏は終わってないよ』
「終わってないかー・・」
真っ白な壁を見つめる。
俺の夏は終わってないのか
そんなストレートに言ってくれた美夏の言葉が
何だか印象的で頭の中でインプットされた。
昨日までとは違う
何だかすっきりした気持ちが心にはあった。
野球とは違う何だか
希望が見えてきた気がしてドキドキした。
寝返りを打つと
一瞬宙に浮いて
すぐに床へと大きく体を打ち付けてしまった。
「痛ってぇ・・」
そのままゆっくり目を閉じた。