なついろ

復活の夏


「あれ,鍵どこ」

玄関を目の前にして思ったこと。
カバンをあさりまくる。
カバンを落とし制服のポケットをチェックする。
「あった!」
安心して鍵穴に差し込む。
カチャッという音を2回ほど聞いて
扉は開いた。

静まり返っている家の中。

静かに靴を脱ぎ
リビングに入った。

カバンをそこらへんに置き
ソファに横になる。

『まだ夏は終わってないよ』


「終わってないかー・・」
真っ白な壁を見つめる。
俺の夏は終わってないのか
そんなストレートに言ってくれた美夏の言葉が
何だか印象的で頭の中でインプットされた。


昨日までとは違う
何だかすっきりした気持ちが心にはあった。

野球とは違う何だか
希望が見えてきた気がしてドキドキした。


寝返りを打つと
一瞬宙に浮いて
すぐに床へと大きく体を打ち付けてしまった。


「痛ってぇ・・」

そのままゆっくり目を閉じた。




< 10 / 16 >

この作品をシェア

pagetop