なついろ
コピー機の
印刷している大きな音が
部屋中に響き渡る
斉藤は椅子に腰かけて
何か資料を見つめていた
ゆっくり向きを変えて
窓を見た
男子の1年が体育をしていた
だるそうにグラウンドを走っている
「暑いのにだりぃな」
冷めた目でその光景を眺めていた
―おいもっと足上げろ!!
汗をだらだらと流しながら
息もはぁはぁ言っている
足ももつれかかっていて
もうダウン寸前だ
黒いキャップを
強く押さえつける
部活の練習
ハードだったなぁ
「おい大宮」
「はい?」
ふと我に返って振り返ると
少しふくれながら
「何やってんだよ」
と腕を組みながら立っている斉藤
「あぁ・・はい」
グラウンドをもう一度
見つめてから印刷されてほんわか温かい紙を
一枚ずつまとめてクリップをとめていった
何時間たった?
ふと時計を見上げると
一時間目が終了するところだった
「先生終わった」
「さすが大宮っ」
そう言ってひしと抱きしめてきた斉藤
「暑苦しい」
ぐっと斉藤を押す俺
「助かったよ,大宮」
「俺は雑用係かよ」
「よく分かってるじゃねぇか」
「ふざけんな」
ケラケラ笑った斉藤は
さっきまで持っていたうちわを
俺の目の前に差し出した
「ほれご褒美」
満面の笑みで渡されたうちわ
「・・どーも」