なついろ

思いっきり起き上がった。
勢いあまってベッドから転がり落ちる。
「痛てぇッ・・」
すぐさま目覚まし時計を確認する。
「やっべぇ!!朝練送れるッッッ」
勢いよく立ち上がった。



「部活,辞めたんだっけ」



この夢を何度見てきただろうか?

額の汗を拭った。
あの試合の後俺は退部した。
最後の一年頑張ればいいなんて
キレイゴトを顧問は言っていたが
俺には責任を取らなければいけない。
正直なところは「逃げ」だったのかもしれないが。


「ちょっと!いつまで寝てるの!?」
下からうるさい声が聞こえる。
ゆっくり俺は部屋を出た。
リビングに入ると忙しそうに歩き回っている母親。
「ねぇーもう早く支度してよ!お母さんもう仕事行くからッ!!」

母子家庭の家は朝から何だか騒がしい。

うるさい母親から生まれた息子の俺はというと・・



祐也―ユウヤ―
背は高く
髪はブラウンで自然に髪の毛先が
少しはねていることがある。
母親と2人で暮らしている。
つい最近野球部を辞めた。





好きな曲を聴きながら家を出た。
太陽がギラギラと光っている。
蝉がミンミンと叫んでいる。

携帯を開く。
「ヤバイ,完璧遅刻だろ」
そうは感じていたものの走ろうとしない自分。
もういいやとでも思っているのか。
だるくなってゆっくり歩いていた。



< 2 / 16 >

この作品をシェア

pagetop