双子ちゃんの恋模様


ぽろぽろとこぼれ落ちる深雪の涙。


俺はただ見つめるだけだった。


…いつもなら謝って慰めるのに、今日は身体が動かなかった。



黙っていると聞こえたのは沙雪先輩の溜め息。


「…やっちゃん」


「…………」


「やっちゃんの気持ちも解るけど、何にも知らない深雪にそれはないわ」


深雪の背中を摩る先輩はまるで二人で話してこいと、目で訴えているみたいだった。


「…少し話してきな」


………ほらな。


俺は深雪と沙雪先輩の隣の部屋に連れて行かれた。


二人きりになった部屋。

静まり帰る部屋。


…どうする…。


とりあえずあやまるか?




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