先生にキス〈3〉
「お母さん…?」


私の表情に気付いたのか、お母さんは、ゆっくりその場にしゃがみ込む。



「ごめんね…。好きな人のことを報告してくれている幸歩があまりにも初々しくて可愛い顔してるから、つい意地悪したくなっちゃった…。本当にごめんね。」


私は、その言葉にムッとするよりもホッとして、目が潤んでしまった。



「…お母さんのバカ…。」


私はポツリと言葉を漏らした後、お母さんに笑い掛けた。



お母さんは、しゃがんだまま、私をギュッと優しく抱きしめて“ごめんね。”ともう一度謝る。



もう……



私の周りは綾月先生みたいな人ばっかりだよぉ…。



私…これじゃあ心臓がいつまで持ちこたえてくれるか分からないじゃん…。



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