先生にキス〈3〉
梗子の理由
「あ…、梗子、いたの?」
教室に戻ると、梗子はベランダにいた。
他のクラスメイトは、みんな帰ってしまったようで、教室は静まり返っている。
「幸歩が先生に会えたか心配で待ってたの。」
「わざわざ待ってなくてもいいのに…。」
私はベランダに出ると、“ふう…”と息を漏らした。
「もしかして、会えなかった?」
梗子に聞かれて、頷く私。
「そっか。帰って来るのが、やけに早いとは思ったんだよね。先生がいれば、色々と話してくるだろうし。」
「部活やってるみたいだったから、帰って来た。」
「そうなんだ。音楽室に乗り込んじゃっても良かったかもよ?」
ニヤニヤしながら、梗子は私のことを見る。
そんな大胆なこと、出来るわけないじゃん。