先生にキス〈3〉

梗子の理由


「あ…、梗子、いたの?」

教室に戻ると、梗子はベランダにいた。



他のクラスメイトは、みんな帰ってしまったようで、教室は静まり返っている。


「幸歩が先生に会えたか心配で待ってたの。」


「わざわざ待ってなくてもいいのに…。」


私はベランダに出ると、“ふう…”と息を漏らした。


「もしかして、会えなかった?」



梗子に聞かれて、頷く私。


「そっか。帰って来るのが、やけに早いとは思ったんだよね。先生がいれば、色々と話してくるだろうし。」



「部活やってるみたいだったから、帰って来た。」



「そうなんだ。音楽室に乗り込んじゃっても良かったかもよ?」



ニヤニヤしながら、梗子は私のことを見る。



そんな大胆なこと、出来るわけないじゃん。



< 133 / 340 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop