先生にキス〈3〉
一年
「和丘と本谷、まだ教室にいたのか?」
聞き慣れた声……。
「噂をすれば、綾月先生っ!」
梗子が声を弾ませながら、先にベランダから教室へと入っていく。
私も、少し後から教室に入った。
「先生、どうしたんですか?部活…のはずじゃ…。」
梗子が先生の近くまで駆け寄って聞く。
「俺、まだ部活に行ってないぞ?職員室で仕事してたし…。教室には忘れ物があったから取りに来たんだ。」
教卓の上を指差す。
なんだ……
音楽室にも先生はいなかったんだ…。
行かなくても良かったかも……。