先生にキス〈3〉
「私…、図書室に行こうとしてたら渡り廊下の所で並木君と偶然会って…。そうしたら、走るところ見て行ってって誘われて、手握られてグラウンドまで行きました…。」



「手…、握ったんだ。それで?」



先生は私の手に指を絡めると、ギュッと握った。



「並木君が走り終わった後、帰ろうとしたんですけど、もう少し話したいって引き止められちゃって…。それで、話をしてたんです。以上が真相です…。」



私は先生の目を見つめた。


「なるほどな…。まあ、幸歩から進んでグラウンドに行くとは思えなかったんだけど、そういうことだったわけか…。」



先生、納得…したのかな?


いや、してないよね…きっと。



「先生、すいませんでした。私も、ちゃんと誘いを断れば良かったのに…。」



私は先生の目から視線を落とした。



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