先生にキス〈3〉
先生の言葉にも、笑顔にもドキッとなった後にズキンと胸が痛む。



もうこの笑顔も、明日で見納めになっちゃうのかな…?



そう思うと、苦しくなる。


「あ…先生、梗子たちの見ている所にも色んなオルゴールあるみたいですから、行ってみましょうよ。」



私は先生の顔を見ないようにしながら、梗子たちの見ている所へ近寄って行った。



「幸歩、どうしたの?向こうで先生と一緒にゆっくり見ていれば良かったのに…。」



梗子は、びっくりした様子で私に囁く。


「……こっちのオルゴールも見たいなって思って。ほら、時間も限られてるわけだし、色々と見なくちゃ。」



もっともらしく理由を言ってみたけど、本当は周りに先生以外の誰かにいて欲しかったからなんだ…。



二人だけだと、どうしていいか分からなくなって胸が押しつぶされそうになるから……。



< 271 / 340 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop