先生にキス〈3〉
「……景色…。」


私は呟くように声を出す。


「景色?」


「はい…。この数日間で色んな大自然の偉大な景色を見てきたから…なんか感動しちゃって……それで…。」



この涙の理由にするには、かなり無理があるって自分でも思った。



笑顔を作って誤魔化しているつもりだけど、私…どんな顔してるんだろう…。



先生の表情を見る限り、あまり私はいい表情じゃないみたい…。



「それで、涙が出たのか?本当に…?」



先生は、優しく包み込むような声で私に問い掛ける。


その言葉に私は首を横に振りたくなるのを堪えて、



「はい。本当です…。」



今にも震えてきそうな唇に力を入れて、笑顔を作ろうと努めた。



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