先生にキス〈3〉
「…なるほどな。なんとなく分かったような気がする。」



先生は何かに納得したかのような言葉を呟く。



俯いていた顔を上げると、先生は一瞬、私に優しい笑顔を見せた。



「並木、ハッキリ言う。俺と和丘は付き合ってるよ。真剣にな…。」



先生の言葉に私は胸が急激に熱くなる。



肌寒い秋の空気を感じさせないほど熱くて、ドキドキするよ…。



何も言わずに黙って聞く並木君に先生は言葉を続ける。




「並木が、このことを他の生徒や先生に言いふらしたいんだったら、勝手に言えよ。俺は、付き合ってる事実がバレることなんて全然怖くない。それよりも、和丘を失うことの方がよっぽど怖いよ…。」



先生の目が少し切なげに映る。



並木君は、さっきまでの笑みを消して、少し意外そうな顔を見せた。



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