先生にキス〈3〉
「嘘なんかじゃないです…。もう落ち着きましたし、平気です。」



先生に、これ以上…迷惑かけたくない…。



私なら…大丈夫だもん。



「じゃあ、何でそんなに切ない顔してんの?それに…」



先生は私の手首を掴む。



「手だって震えてるじゃん。これが“落ち着いた”とか“平気”っていう状態なのか?」



先生の問いかけに私は口をつぐんだ。



「悪いけど、そんな状態のお前を部屋に帰すわけにはいかないな…。」



先生は手首を握ったまま、部屋の中へと私を連れて行くとベッドに腰をおろした。



私も隣に座ると、先生にあまり顔が見えないように俯いた。





「和丘…、並木と何があった?」



胸にズキッと痛みが走る。


先生に握られている手が、あまり震えないように私は、手に力を入れた。



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