先生にキス〈3〉
「最近…和丘…元気なかったもんな…。もっと、その時に俺が話を聞いていれば…。昨日だって涙…零していたのにな…。」



先生は悔しそうに声を振り絞る。



「…先生のせいじゃないです。だって先生が何を聞いたとしても、私は大丈夫って言っていたはずですから…。」




私…ちゃんと声を出したいのに、震えちゃう…。



「和丘…、俺に何でも思ってること…ぶつけて。何でも話して…。一人で抱えこまないで欲しいんだ…。今も……我慢するなよ…。お前の気持ち…全部受け止めるから。」



先生の言葉が体中あちこちに突き刺さる。



じわりと胸が熱くなって、胸から首、唇、そして目まで伝わってくる。



瞬く間に視界は歪んで、せきをきったように涙が溢れてきた。




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