先生にキス〈3〉
「先生……私…怖かった…。並木君に呼び出された時…急に態度が変わって…驚いたし、怖かったんです…。」
先生は私の頭を撫でながら、相槌をうって言葉を聞いてくれている。
「交換条件は…先生とのことが誰にもバレないんだったら、それでいいって思いました……。でも……先生に別れを言わなくちゃいけないって思ったら、胸が苦しくて…痛くて…どうしたらいいのか分からなかった…。」
そこまで言い終わると、涙が次から次へと零れ落ちてきて、私は何も言えなくなってしまった。
先生は、息が出来なくなってしまいそうなほど強く私を抱きしめる。
先生に抱きしめられて、私の冷えきっていた心は、徐々に溶かされて温まっていくのを感じていた。
私のとどまることのない涙は先生のワイシャツを濡らし続けて、なかなか治まらない。
泣き続ける私を先生は体と心で優しく包み込んでくれていた。