先生にキス〈3〉
「和丘……」
先生の呼ぶ声に私は胸に埋めていた顔を上げて、先生を見上げる。
「もう…和丘にこんな顔…させないからな。」
先生は親指で私の両頬の涙を拭うと、優しくキスをした。
先生の唇の温かさに、また涙が溢れるようにポロポロと流れる。
「涙で、しょっぱいな…。」
先生は私のおでこにおでこをくっ付けて微笑んだ。
「だけど…甘いです…。」
私も先生に笑いかけた。
こんな風に作り笑いじゃなくて、心から笑顔になれたの…なんだか久しぶり…。
気持ちいい…。
心に重くたれ込めていた霧がスッと晴れていくように感じた。