先生にキス〈3〉
「10分経つ前に、和丘に渡したいものがあるんだ。」


「渡したいもの…ですか?」



「そう。もうすぐ来る誕生日に渡そうか迷ったんだけどさ…。この修学旅行中に、もしも渡せる機会があったら渡そうと思って持って来てたんだ。」



先生は、自分のグレーのワイシャツの胸ポケットに手を入れた。



何が入ってるんだろう…?


ポケットに入ってるってことは、大きいものではないよね…。



先生の手がポケットから出てくる瞬間が気になって、ポケットのところに視線を集中して注ぐ私。



「和丘、俺が合図するまで目を閉じてて。」



先生は気になって視線を送る私に意地悪っぽく言う。

もう…先生ってば…。


早く見たい気持ちを抑えながら、私は目を閉じた。



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