先生にキス〈3〉
私は、ふと制服の右ポケットにしまってある合鍵を取り出した。
“いつでも来いよ”
その言葉が頭の中で何回も再生される。
その度、嬉しくて笑みが零れる。
これからは、人目を気にせずに先生と会える機会が増えるんだね…。
「幸歩、何見てるの?」
梗子が不思議そうに覗き込もうとして、慌てて私は手で鍵を握りしめて隠す。
「なんでもない…。」
…とは言ったものの、梗子は何か隠したのを見ていたため、かなり気になっている様子。
「見たいなあ…。でも、今日の幸歩は修学旅行中で一番いい笑顔してるから、意地悪して深く詮索するのはやめとくね!」
梗子は笑いながら、私の肩をポンッとたたいた。