先生にキス〈3〉
「柔らかい笑顔だった。」


「へ……?」



チラッと先生の方に視線を向ける。


「今の幸歩の笑顔……可愛くて、それでホッとした。お父さんの話してる時の幸歩は、なんだか悲しそうな顔してたから…。」



心配してくれたのかな…?


っていうか、そんなに悲しそうな顔してた…?



そんな意識もなかったけど…。



「俺のせいで、お父さんの方に話がいっちゃって、ごめんな。話をしたくないことがあったら、遠慮なく言ってもらっていいからな。お前の悲しい顔…見たくないからさ。」



先生はハンドルを片手で握ると、反対側の手で私の頭にそっと手をのせた。



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