先生にキス〈3〉
「こんなところに綺麗な桜があったんだなぁ。」


先生も、驚いた様子で垂れ桜を見上げる。



「そうですね。それに、今日って月の光がこんなに明るかったんですね。」



夜空にはぽっかり浮かぶ満月。



雲一つなくて、空も地上も温かい光で満ちている。


さっきまでは桜を照らすスポットライトの中を歩いていたから、実感がなかったけど、あの光がなくても充分なくらい明るい夜だったんだ…。



「足元とか気をつけろよ?さっきの場所よりは暗いから。」



先生は気遣いながら、桜の傍へと私を連れて行く。



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