特等席はアナタの隣。
もうすでに隣に座っている黒崎君。


「う…じゃあ遠慮なく…」
断りきれず、大人しく教えてもらうことにした。




「で、ここに公式を使って…」

し、集中できない…。

2人きりの空間。肩が触れそうなほど身体を寄せ、黒崎君の香りに包まれている。

ただでさえ男の子に免疫がないのに、相手はあの黒崎君。

緊張しすぎて頭に全然入らない…。

「おい、浅野!聞いてんのか?」

ヤバ…聞いてなかった。
せっかくの黒崎君の好意がムダになる。
集中しないと!
心の中で気合いを入れる。

「ゴメン…もう一回お願い?」

相手は黒崎君じゃない!お兄ちゃんだと思え!お兄ちゃんだ!


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