特等席はアナタの隣。
何度目かのチャイムが鳴ったあと、マナーモードにしていた和泉君の携帯が震えた。


携帯を取り出し、液晶を見つめている。

「…裕太からだ」

そう呟いて和泉君が電話に出た。

「もしも……」

『和泉っ!!!!てめぇいつまでサボってんだよっ!!さっさと戻って来いっ!!自分でこいつらに説明しろ!!』

ここまでもれている裕太君の怒声に和泉君が顔をしかめている。


電話ごしに、うるせぇおめぇら!と裕太君の声が響いているけど、和泉君はプチッと切った。


「ちょっ…!!裕太君いいのっ!?」

おそらく、皆から問い詰められているんだろう。
なんだか、迷惑かけて申し訳ないよ…。

「あぁ。多分一番の被害者は裕太だな。モカと離れてた時も俺相当荒れてたから」

そう笑いながら言う和泉君を見て、裕太君がとても不憫に思えた。

…あ、あとで謝っておこう……。


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