特等席はアナタの隣。
携帯をしまい、和泉君が言った。
「……そろそろ戻るか」
「…………うん」
いつかは戻らないといけないんだ。
平気?と和泉君は訊ねてくる。
その言葉に笑顔で頷き一緒に立ち上がった。
出口まで、2人とも無言で歩く。
扉を開け、和泉君が一歩踏み出し、こちらに振り返った。
「モカ」
和泉君が、ほら、と左手を差し出した。
「…うん!」
その手を握り、和泉君の隣に並ぶ。
それだけで、重くのし掛かる不安や恐怖が消えていくのが分かった。
…大丈夫、頑張れる。
和泉君が隣にいれば無敵だ。
「行くぞ」
自信に満ちた和泉君の言葉を合図に、一緒に歩き出した。
「…ねぇ、和泉君。…これからも、隣にいさせてね?」
当たり前だ、と和泉君が笑う。
「…あんま可愛いこと言うと、襲うよ?」
妖艶に微笑みながら繋いだ手を持ち上げ、チュッとキスを落とした。
どこまでも甘い和泉君に、照れながら、笑った。
この先もこうして翻弄され続けるんだろう。
校舎へと続く渡り廊下、女の子たちの悲鳴が響き渡る中を、私たちは手を繋いで歩いた―――…。
――END――
「……そろそろ戻るか」
「…………うん」
いつかは戻らないといけないんだ。
平気?と和泉君は訊ねてくる。
その言葉に笑顔で頷き一緒に立ち上がった。
出口まで、2人とも無言で歩く。
扉を開け、和泉君が一歩踏み出し、こちらに振り返った。
「モカ」
和泉君が、ほら、と左手を差し出した。
「…うん!」
その手を握り、和泉君の隣に並ぶ。
それだけで、重くのし掛かる不安や恐怖が消えていくのが分かった。
…大丈夫、頑張れる。
和泉君が隣にいれば無敵だ。
「行くぞ」
自信に満ちた和泉君の言葉を合図に、一緒に歩き出した。
「…ねぇ、和泉君。…これからも、隣にいさせてね?」
当たり前だ、と和泉君が笑う。
「…あんま可愛いこと言うと、襲うよ?」
妖艶に微笑みながら繋いだ手を持ち上げ、チュッとキスを落とした。
どこまでも甘い和泉君に、照れながら、笑った。
この先もこうして翻弄され続けるんだろう。
校舎へと続く渡り廊下、女の子たちの悲鳴が響き渡る中を、私たちは手を繋いで歩いた―――…。
――END――