特等席はアナタの隣。
映画が始まり、スクリーンにかじりついて観ている彼女の隣で、あくびをしながらゴソゴソと動く黒崎先輩。
時折、彼女の耳元で何か囁いている。

全く映画なんか観ていない。まぁ、こってこてのラブストーリーだから興味がないのかもしれない。


最初は相手をしていた彼女も、そのうち無視をし始めた。映画に必死みたいだ。


そんな様子に黒崎先輩も諦めたのか話しかけるのをやめ、彼女の手をとり、指を絡めるように繋いでいる。
その後、黒崎先輩はつまらなそうにあくびをし、コテッと彼女の肩に頭を預けてそのまま寝てしまった。



もう、映画どころじゃない。

目の前の2人から目が離せなかった。


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