特等席はアナタの隣。
席に着いて鞄をしまうと、
「おはよ」

この席になって初めて黒崎君が挨拶をしてくれた。


「おはよう。寝坊しちゃった」
小声で黒崎君に囁く。


フッと黒崎君が笑う。

「だろうな。はねてる」

肩まである髪の毛の先を黒崎君の手が触れる。


寝癖よりも黒崎君に髪を触られていることに恥ずかしくなり、髪をバッと押さえて離れた。


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