不幸せの青い鳥 -堕ちた羽根-
身体が再び宙に浮いた瞬間には、私は言いたい事も言えなくなっていた。

思わずぎゅっと目を閉じて、流れる風を感じている。

本当なら心地良いと思う筈の風も、此処ではそんな事は感じられない。

段ボールの中の子犬を気にするどころではなかった。

少ししてずっと吹いていた風もやみ、目を開ければ……

そこには私が住んでいる家の前。和風の見慣れた木造の家。

ちゃんと表札も“唐戸(からと)”とある。

まだお姫様抱っこのままだった事に気付き、

降ろしてと私が叫ぶ前に彼は私を降ろしてくれた。

やっぱり私の言う事が分かっている?……と思った瞬間。

無茶が祟ったのか、彼はその場にどさりと倒れた。
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