月と夜風と木魚と川と【短編】


少しだけ移動して、橋の欄干まで来ると二本目の煙草を呼び出して、川の流れを覗いてみた。



真っ暗なうねりは決して緩やかでもなく、速すぎる訳でもない。
ただ、何かを呑み込むのに丁度いい速さで流れていた。


真っ黒な水鏡に映る真っ白に揺れ動く月。

ふと流れ来る、もうひとつの月。





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