月と夜風と木魚と川と【短編】


『おぬし、口が利けぬのか?』


木魚が喋れて、俺に喋れない道理もない。


「いや、その、少しばかり面喰らって……」


『ほほう。わしが珍しいかのぉ』


ポクポクポクと独特の音を出す。
おそらくは笑っているのだと思うのだが。

この音、やはり木魚で間違いないのだろうか。





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