月と夜風と木魚と川と【短編】


『おぬしの探し物は目には見えんものじゃな』


何かを探して、外に出た訳じゃない。


だが、木魚は俺の返答など待たずに話し続ける。


『わしの探し物は沼じゃ。確かこのあたりにあったはずなのだがのぉ。だいぶ時間がたっておる故、さっぱり見つからんのじゃ。なにせ、わしがまだ小魚の頃じゃった故になぁ』





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