月と夜風と木魚と川と【短編】




落胆したのだろうか。



ぽちょん。


ぐるんと回転しながら、また姿を現す木魚の目には水滴か涙が解らない雫がこぼれる。


『そうかそうか。その可能性も十分に考えてはいたのじゃ。教えてくれて、有難うよう。そうか、もうなくなってしもうたか……
それなら、わしはわしの記憶にある本当の沼を探しに行かねばなるまいのぉ』





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