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新しい一歩
雨が多い季節には珍しく、良い天気に恵まれた。
陽の光が窓から降り注ぐ白を基調とした部屋で、光を放つ白を私は身にまとっている。
シワを付けないように慎重に近くのソファーに座り、携帯電話を耳にあてる。
『お前の好きそうな物見つけたぞ!
お前絶対気に入るから早めに電話してこいよ』
携帯電話から聞こえてきたのは懐かしい貴方の声。
目を伏せて役目を終えた携帯電話を見つめる。
ふっと笑みが零れた。
鏡を見なくても、私は自分の表情が柔らかくなっているのがわかる。
だって、心がとても穏やかだから。
もう貴方の声を聞いても揺るがなくなったよ。
「こんな日がくるなんて思っわなかったな」
前に進む時がきたんだね。
キー操作で画面に有無をとう二つの選択肢を出す。
そして、色々な思いを込めてボタンを押した。
[はい]
私は今日、煌めく太陽と真っ青な空の下で鐘の音を聞きながら、沢山の祝福を浴びて新しい一歩を踏み出す。
この日を迎えられるのも貴方のお陰だよ。
「ありがとう」
END