電波ヒーロー


じっとケーキを見ていると、伶さんが口を開いた。




「で?」

「…はい?」


で、と言われても。

と思って返事に困っていると、伶さんは不機嫌そうな顔をした。




「さっきのこと。何で俺の顔、見なかった?」

「…別に、特に理由は「じゃあ、」


私の言葉を伶さんが遮った。


一瞬の沈黙。

伶さんはため息ともとれるような具合に、はぁ、と息を吐いてから、言葉を続けた。




「今、俺と喋ってるのに顔を上げないのは何故?」


< 181 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop