電波ヒーロー
じっとケーキを見ていると、伶さんが口を開いた。
「で?」
「…はい?」
で、と言われても。
と思って返事に困っていると、伶さんは不機嫌そうな顔をした。
「さっきのこと。何で俺の顔、見なかった?」
「…別に、特に理由は「じゃあ、」
私の言葉を伶さんが遮った。
一瞬の沈黙。
伶さんはため息ともとれるような具合に、はぁ、と息を吐いてから、言葉を続けた。
「今、俺と喋ってるのに顔を上げないのは何故?」