電波ヒーロー


その声にはっとすると、さっきまで遠くにいた伶が私の目の前に立っていた。




「れ、伶…ど、どうしたの?」

「どうしたのって…。由佳の側に来るのに理由がいるの?」

「そうじゃなくて、「俺のこと、ここから見てて。…今日は無理矢理連れてきてごめんね」


伶はそれだけ言うと、私から離れてセットの方に向かっていった。

その後ろ姿は、いつもなら距離を感じるものだったけれど、今日は何故か距離を感じることはなかった。


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